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藤田 洋介さん インタビュー(2)

問題の根本的な解決には 法律と福祉との両輪が不可欠

Q仕事の中で福祉の視点が必要だと感じることは多いですか? 例えばどんな場合でしょうか?

民事事件から刑事事件までの多様な案件に関わる中、福祉の視点の必要性は常に感じています。
相談で最も多い借金も、管理能力の欠如や依存症、虐待、精神障害など、背景に何らかの問題があり、職場でのいじめや離婚で鬱になったことがきっかけというケースもあります。多くは自己破産という手段を取りますが、借金だけを解決しても根本的な解決にはならず、結局、同じことを繰り返してしまいます。

刑事事件の弁護についても同じで、犯罪の背景にある障害、環境などに目を向けなければ本当の解決には至りません。
法律問題の裏側には、表からは見えにくい、その人の置かれた環境といったものが積み重なっていることが少なくありません。そういった方の支援には福祉の視点が不可欠です。ある一時点で解決を目指す法律だけでなく、線で見て支援する福祉との両輪が、絶対に必要です。

Qご自身も社会福祉士ですが、社会福祉士と連携することはありますか?

社会福祉士との連携は多く、地域包括支援センターの方からの相談など、こちらへ依頼があるケースと、ホームレス支援や刑事事件の入口支援での更生支援計画など、こちらが依頼するケースの両方があります。

以前から連携はあったのですが、現在は自分も社会福祉士であることで、どこへどうアプローチしたらいいかが一層よくわかります。
また、弁護士というと遠い存在のように思われていたのが、隔たりがなくなり、連携が取りやすくなりました。それも資格が必要だと思った理由のひとつです。

福祉を学んで感じたのが、弁護士と社会福祉士は視点が、真逆と言っていいほど異なるということ。
弁護士は、事実に法を当てはめて答を出します。社会福祉士は、生い立ちや能力までを見て支援し、解決するのは当事者本人です。アプローチも考え方も違います。互いのいいところを知り、認め、連携する必要があると思います。

Qこれから、法曹界で福祉の視点はより必要となると思いますか? 課題は何でしょうか?

福祉の視点の必要性は絶対に高まると思います。
現に法曹界でも社会福祉士の活躍が増えており、「法テラス」にも社会福祉士がいますし、情報提供専門職員では半数以上を占めています。
あまり知られていないと思いますが、検察庁や刑務所内でも活躍しています。

一方、全体では、法曹と福祉の連携は広がっているもののまだ一握りで、都合に合わせて場面、場面で使うことに留まっているのが現状。チームの一員として継続的に連携していく必要があり、弁護士もその意識を持たなければいけないと考えます。

ソーシャルワークの意味の広さ 大きさに気付く

Q仕事の中で大学の学びが役立ったエピソードがありますか?
学んで変わったこと、得たことは何でしょうか。

相談を聞く姿勢において、以前にもまして傾聴を意識するようになりました。また、担当している成年後見関係事件で、ご本人の頑張りや成長を言葉にして伝えるなど、依頼人への接し方も変わったように思います。
学習したことを活かして、事務所内でソーシャルワークや福祉関係機関をテーマにした職員研修も企画し、実施しました。

全体では、ぼんやりしていた福祉領域の知識が明瞭に整理できたように思え、何よりソーシャルワークを深く考えることができた中で、その意味の広さ、大きさに気付きました。これまでは何となく色んな社会資源とつなぐというイメージでしたが、社会の変革、ソーシャルアクションまで目指すものであることを知り、驚きました。

Q今後の目標を教えてください。

個別事件での連携の強化はもちろんのこと、弁護士に対して感じがちなハードルを少しでも下げて、福祉の専門職とつながりやすい関係や継続的な連携の仕組み作りです。例えば、地域や分野ごとの法曹と福祉の連携ネットワーク。また、当事者だけでなく、支援者もフォローできる仕組みもつくりたいと考えています。
個人的には、精神保健福祉士の資格も取りたいと思っています。

Q入学を検討している皆さんへメッセージをお願いします。

法曹界に限らず、多様な職域や人が福祉を学ぶことが大切だと思います。
スクーリングで、自分がそれまで持っていた、福祉分野の人が資格を取りに来るというイメージと違い、別分野の人が多くいることを知りました。その出会いだけでもいい経験でした。色んな人が集まる場で学ぶことにも意味があると思います。
不安も感じると思いますが、ぜひチャレンジしてください。その価値があります。

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