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お知らせ

「森林療法と地域再生」をテーマとした富山地域学習会が開催されました

2011年9月24日(土)、25日(日)の2日間にわたり、富山県砺波市にある県民公園「頼成の森」(らんじょうのもり)をフィールドとして、福祉経営学部(通信教育)の「地域学習会」が開催されました。今回は「森林療法と地域再生」をテーマとし、雨森孝悦教授が科目担当する単位認定型(※)の地域学習会として開催されました。

※単位認定は希望者のみ。単位認定型地域学習会の開催条件は「地域学習会の手引き」を参照ください。

新しいウィンドウを開きます【富山地域学習会のご案内~森林療法と地域再生】

開催地となった砺波市は、民家が田園地帯に点々と散在する散居村の美しい風景があり、チューリップの球根の生産でも有名な人口約5万人の都市です。また、会場となった県民公園「頼成の森」は、1969年5月、第20回全国植樹祭が行われ、その後1975年に総面積115haにおよぶ広大な区域を本格的な森林公園とし、開園されました。公園内には多くの種類の樹木が繁茂しており、約20kmにおよぶ園内の遊歩道等をたどると、四季折々の花々や新緑、紅葉、時には小動物に出会うこともあります。まさに「森林療法」を体験するにふさわしい最適の地域資源と言えます。

前日までの悪天候のため、当日の開催が直前まで心配されましたが、参加した皆さんの日ごろの行いの良さからか、2日間とも気持ちのよい晴天に恵まれました。今回の開催に向けて、中心的に企画された方々の1年越しの強い想いが、実りある学習会の実現につながったことと思います。

【会場となった県民公園 頼成の森】

【森林療法とは何か】

森林療法とは、森林環境を活用して、病気になりにくい身体や心をつくる自然療法の一つである。
雄大で荘厳な森林をはじめ、霊験あらたかな奥山の森、身近な里山、雑木林、地域に残る鎮守の杜、また手入れ不足の放置林など、有名、無名を問わず、そこにある森林に出かけ、森の道を歩き、木漏れ日の射す静かな場所でたたずみ、林床や切り株に座る。特別な森でなくてもよい。その環境のもとに自分自身をゆっくりと振り返り、自己の生命力、自己治癒力を恢復させる。荒廃した森林、長期間放置されてきた森林の場合であれば、自らの身体を動かしてその森林を手入れし、森林の健康を恢復させていく。そして、その手入れの作業自体が作業療法(作業を行うことによって行う心身のリハビリテーション)の一つとなる。

引用文献:「森林療法とは何か ~その概要と地域における今後の可能性~」
森林技術 No.819 2101.6 上原 巌

【参加教員のレポート】

森林療法という、一般にはまだあまり馴染みのないことに私が関心を持ったのは、三重県名張市で何年か前に開かれた「全国雑木林会議」に参加し、そこで今回の地域学習会でも講師をしていただいた上原巌先生のお話をうかがったことがきっかけです。福祉医療と森林の保全・利用の両方にかかわる新しい領域として注目しました。その後、上原先生にはスクーリングにも来ていただきましたが、学生の反応がよく、また先生にも受講生についてよい印象をもっていただけました。そこで、学生の間から森林療法を実践する人が現れることを期待して、今回の地域学習会を開催することにしました。事後課題のレポートを読んでも、みなさんの意欲が伝わってきて、今後に期待できるという印象を持ちました。まかれた種から芽が伸びて、そのうち花が咲くに違いないと思って楽しみにしています。

<福祉経営学部(通信教育)教授 雨森 孝悦>

今回の地域学習会は、企画発起人となった学生の方が雨森先生と共に1年以上の歳月をかけて、準備した学習会でした。学習会の企画・相談のために、地元の砺波市から本学の美浜キャンパスにも足を運んでくれました。本学キャンパス内で打ち合わせをしたその日は、2011年3月11日(金)で、東日本大震災のまさに当日でした。本学のキャンパスも海岸線に比較的近いため、津波を警戒するサイレンが学内にも鳴り響きました。幸いにも直接的な被害はほとんどなかったため、そのまま学習会の打ち合わせを続けましたが、本当に印象深い日となりました。
それから約半年後、実際の学習会の開催日を迎えることができたのは、中心的に企画・準備された発起人ほか、関与された皆さんのご苦労があったからこそです。ご一緒させていただいた私自身も、思い出深く、また本当に学びの多い学習会となりました。

<福祉経営学部(通信教育)学習指導講師 元岡征志>

【富山地域学習会 スケジュール(事前・事後課題含む)】

【本学参加教員】

 雨森孝悦 先生 <福祉経営学部(通信教育) 教授> 科目担当教員
 元岡征志 先生 <福祉経営学部(通信教育) 学習指導講師>

【事前課題の内容】

下記の1.または2.の課題図書を読み、1,000字程度のレポートを作成し、提出する。
  1.上原 巌 著「実践!森林療法最前線」
  2.上原 巌 著「森林療法の手引き 地域でつくる実践マニュアル」

【1日目】 2011年9月24日(土) 9:00開始

9:00~9:30
オリエンテーションと自己紹介
9:30~10:30
科目担当教員による導入講義
10:30~12:30
ゲスト講師による講義
「森林療法の基礎知識を学ぶ」と「フィールドワークI」
講師:上原 巌 先生(東京農業大学 森林総合科学科 教授)
12:30~13:30
昼食・休憩
13:30~17:30
ゲスト講師による講義
「森と親しむ、森で楽しむ1」と「フィールドワークI」
講師:広田 史子 先生(富山県 森林インストラクター)
17:30~19:00
移動・夕食
19:00~21:00
振り返りと1日目のまとめ

※1日目の学習会終了後は、会場を変えて交流会を開催しました。

【2日目】 2011年9月25日(日) 8:30開始

8:30~9:00
オリエンテーション
9:00~12:30
ゲスト講師による講義
「森と親しむ、森で楽しむ2」と「ネイチャーゲーム」
講師:広田 史子 先生
12:30~13:30
昼食・休憩
13:30~15:00
科目担当教員による講義
「人が甦り、地域が甦る」
講師:雨森 孝悦 先生
15:00~16:00
2日間の振り返り、まとめ
16:00
解散

【事後課題の内容】※地域学習会終了後、1ヶ月以内に課題の提出

自分の地域で森林療法ができそうなフィールドを調べ、今回体験・学習したことをどのように活かしていくかをレポートとして提出する。

地域学習会開催の様子

■開催あいさつ・スケジュール説明など

まず、今回の地域学習会の企画発起人の学生より開会の挨拶をいただきました。
地域学習会の開催を思い立ったきっかけやこれまでの経緯など、熱い想いをお話いただきました。

【中心となって企画・準備された発起人の学生による開会挨拶】

1.科目担当教員によるオリエンテーションと導入講義

科目担当教員の雨森先生が地域学習会の導入講義として、今回のテーマのねらいや学習会の目的について説明されました。

【雨森先生による導入講義】

2.上原 巌 先生による講義「森林療法の基礎知識を学ぶ」と「フィールドワークI」

続いてゲスト講師としてお招きした上原巌先生より、森林療法の基礎知識についてご講義いただきました。森林療法の基礎に加え、全国各地で実施された現場のお話など、非常に具体的で分かりやすく講義していただきました。

【上原先生による講義の様子】

【熱心に聴講する参加者の皆さん】

分かり易く、ユーモアある講義はあっという間に時間が過ぎ、早速フィールドに出て森林療法を体験しました。当日は、本当に気持ちのよい天気で、森林の効果を十二分に体感できました。

【森を歩くための注意講義】

【森を散策しながらの講義】

【自分の気に入った場所を見つけ過す】

【上原先生の癒しの場所】

■昼食・休憩

昼食は、地元で採れた旬の野菜をふんだんに使ったお弁当をみんなで食べました。森林の中を歩いた後の食事は特別おいしく感じられました。森林で体験したことを共有しながらの休憩時間もあっという間に過ぎていく感じがしました。

【旬な食材を活用したお弁当】

【食事をしながら歓談の様子】

3.広田史子先生による講義「森と親しむ、森で楽しむ」と「フィールドワークII」

次に、地元で森林インストラクターとしても活躍されている広田先生より、具体的な森との親しみ方についてお話いただきました。講義の後は改めて森の中へ出かけ、実際に森との親しみ方を体験しました。

【広田先生による講義の様子】

【森との親しみ方を学ぶ様子】

森を歩いた後の効果を比較するために、森の中に入る前と後で自分のリラックス度をチェックしてみました。参加者それぞれの反応があったようです。

【リラックス度を測るシート】

【反応を比べる様子】

2日目のフィールドワークでは、アイスブレーキングから始まり、「森の図書館」と「森カフェ」などさまざまなネイチャーゲームを味わいました。森の中で食べた広田先生の手づくりのクッキーやコーヒーなど、おいしさもひときわでした。

【森カフェの様子】

【森の図書館で記念撮影】

森の中では、私たちが日ごろ見過ごしているようないろいろな発見がありました。

【森のワンショットワーク】

【自分のワンショットにひとこと】

「森のワンショットワーク」と題し、各自お気に入りのワンショットを探しました。

4.科目担当教員による講義「人が甦り、地域が甦る」

2日間の学習を踏まえて、雨森先生より地域再生につながるまとめの講義がありました。特別な森で特別なことをするのではなく、身近な森や公園を活用することで「人が甦り」、それが「地域が甦る」ことにつながるとのお話でした。最後に、参加者それぞれの地元で今回の体験をどのように活かすことができるか、活用できるフィールドあるかどうか、といった内容をテーマとして事後課題が出されました。

【雨森先生によるまとめの講義】

【癒しを求めて木陰に座る雨森先生】

5.懇親会の様子

学習会1日目の夜は、プログラムとしての振り返りの後、参加者の皆さんが宿泊した宿で懇親会が開かれました。学び、体験したことを共有しながら、食事と会話を楽しみました。
同じ問題意識を持ち、また一日、非常に濃密な学びの場を共にした仲間同士、いつまでも話は尽きることがありませんでした。

【懇親会の様子】

【講師を囲んで記念撮影】

6.参加された皆さんの感想より

参加後のレポートでは、以下のような感想がありました。ごく一部ですが、ご紹介いたします。

  • 森林療法は機会の提供であり、その効果は私たちが導いていくのではない。体験するご本人の中にあり、そこに寄り添うことでより一層、大きな効果に結びつくものだと思いました。
  • 森林療法はとても楽しく、これからも続けていきたいと思います。
  • 自分の生活圏の中に、素晴らしい森林資源を発掘できたことは、今回の学習会での大きな成果です。
  • 仕事で関わる精神障害の方に対し、既存の療法以外で癒しを提供できる様な取り組みをしていきたいと強く思いました。
  • 自然と触れ合うことは、現代社会で多くのストレスを避けることのできない私たちにとって、重要なストレス解消手段だと思います。
  • 身近なところでも自然に触れる場所を探すことはできる。今回、短時間だけでも森を歩くことで、気分転換になったと感じました。楽しみ方を伝えてくれる方がいるとより一層、「楽しい」「また来たい」と思える機会になるのではと思いました。

7.地域学習会終了後の活動

今回の地域学習会では、開催後1ヶ月を経過してうれしい知らせがありました。
10月23日(日)に、今回の企画発起人の職場(医療法人内)を中心として、講演会・学習会「森林療法の基礎知識を学ぶ~地域における今後の可能性~」(講師:上原巌先生)が開催されたのです。地域学習会にゲスト講師としてお招きした上原巌先生が、10月下旬に改めて北陸地域を訪問されるのを機に開催されました。言わば、第2弾の地域学習会が地域や職場と密着した形で開催されたことは、本学としても非常にうれしいことです。
今後とも、地域学習会が一度の開催で終わらずに、継続した学びの場につながることを願っております。

【参加者のレポート】

講演会では、先生が取り組まれている各地の地域病院や社会福祉施設での森林療法の事例をご紹介いただきました。そのあと戸外に出かけて、サクラ、クロマツ、スギ、ツバキ、ムクゲなどの樹木や、ヨモギの葉を皆さんで集め、調理室で早速その葉を蒸し、芳香蒸留水の作り方を教えていただきました。とりたての植物の新鮮な香りを楽しみました。
森林療法は、身近な自然の中にいくらでも材料があることを教わりました。

新しいウィンドウを開きます【講演会のご案内「森林療法の基礎知識を学ぶ~地域における今後の可能性~」】

【発起人の職場で開催された講演会・学習会の様子:講師 上原 巌 先生】

■本件に関するお問い合わせ
日本福祉大学 通信教育部事務室 地域学習会係
TEL:0569-87-2932
FAX:0569-87-2308
HP:【nfu.jp】-【お問い合わせ】-【通信教育部事務室】

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