鹿児島県・沖永良部島にて地域学習会が行われました

2008年3月2日(日)、3日(月)に、鹿児島県・沖永良部島和泊町にて、地域学習会が開催されました。
地域学習会とは、通信教育部の学生、同窓生によって自主的に企画運営される学習会であり、学生の要望を受け本学教員が講師として参加することもあります。
今回の地域学習会は、企画者(在学生)の方が地方自治体の保健福祉課職員として勤務されている関係から、ご当地の民生委員・児童委員及び主任児童委員の研修会という形で開催しました。通信教育部生並びに、地域住民の方々と合わせて計31名の方が参加され、教職員は、本学からは平野隆之教授、斎藤千宏教授、鹿児島女子短期大学から久永繁夫教授が参加されました。
学習のテーマを「地域自立をめざす福祉と民生委員等の役割」と掲げ、地域福祉の重要な担い手の一つである民生委員・児童委員の活動について、「訪問活動の基本的なあり方(久永教授)」や「住民リーダーと行政の協働による新しい相談・支援活動(平野教授)」を講義されました。
また、フィールドワークとして、福祉関連施設の視察を行い、沖永良部島の福祉サービスの現状について理解を
深めました。
今回は、本学学生以外の方々にも講義をお届けする、今までにない新しい形の地域学習会となりましたが、 地域の方々との交流・意見交換が活発に行われた有意義な学習会となりました。

 


スケジュール

3月2日(日) 
  1. 島内散策
  2. 福祉関連施設の視察
  3. 講義(会場:和泊町保健センター)
  4. 交流会

3月3日(月)
  1. 和泊町役場訪問
  2. 歴史民族資料館見学
沖永良部島の位置
 
斎藤千宏教授の参加レポート
斎藤千宏教授

 冒頭の概要で紹介されているように、今回は地域包括支援センターに勤務されている本学通信生の「誘致」で実現しました。お仕事柄、地域福祉の研修を希望ということでしたので、その分野の第一人者である平野先生(社会福祉学部)にご多忙中にもかかわらず、協力いただきました。またゲストの久永先生も本学卒業生です。新たに民生委員になられた方と行政担当職員が多く参加されていて、さながら「自ら地域から福祉を生み出していく担い手としての民生委員はどんな活動ができるだろうか」(上からの通達をこなすだけの立場ではなくて)といった実践的な研修になりました。大半の参加者が夜の懇親会にも参加され、思い出深い日となりました。

   
地域学習会の様子
  3月2日(日)
   
  1.島内散策

島に到着後、島内の魅力ある観光スポットを見学しました。ゴツゴツした岩場と、切り立った崖が特徴的なフーチャ(隆起サンゴ礁の洞窟)や、高さが約7m、枝張りが約22m、そして幹回り約6mのガジュマルの木などを見てきました。鹿児島県の中で沖縄に一番近い島だけに、亜熱帯性気候ならではの美しい自然を堪能しました。

   
フーチャ(隆起サンゴ礁の洞窟) 日本一の大きさを誇るガジュマルの木
「とり宮」のご主人(左)を訪問 ガジュマルの木

2.福祉施設訪問
  奄美諸島で唯一の小規模多機能介護施設「ホームかがやき」を訪問しました。意欲溢れる経営者の方から、施設立ち上げ時のお話や、運営面の現状・課題等についてお話を伺うことができました。

※小規模多機能介護施設とは、利用者の状態や必要に応じて、「通い」を中心に「泊まり」「訪問」の3サービスを組み合わせて提供する在宅介護サービスです。2006年4月、介護保険法改正により制度化され誕生しました。

施設訪問

3.講義

各先生方から、民生委員・児童委員の活動について講義が行われました。
久永教授からは、相談援助活動の基本や訪問活動のポイントについて講義があり、お隣近所との付き合いが深い地域特性を活かし、地域住民と民生委員・ケアマネージャ等、地域の連携による支えあい活動を行っていくことの重要性を説かれました。
平野教授は、民生委員と行政の専門職とが協働し、それぞれの役割を認識した上で活動を進めることが地域福祉の推進力になると提起されました。また、その為には「民生委員活動における支援の対象者や活動範囲を明確にすることが重要であり、今後の活動の取り組み方を皆さんで自発的に考えて欲しい」、と参加者の方々に訴えかけられました。
会場には、実際に活動に携わられ、様々な課題や疑問点を抱えていらっしゃる方も多く、時には大きくうなずきながら、真剣に聞き入っている姿が多く見られました。

鹿児島女子短期大学 久永繁夫教授

講義:「訪問活動の基本的なあり方について」

日本福祉大学 平野隆之教授

講義:「住民リーダーと行政の協働による新しい相談・支援活動について」

久永繁夫教授 講義 平野隆之教授 講義
 

4.交流会
 講話終了後、交流会が開かれました。沖永良部島の名物料理と特産品である黒糖焼酎を頂きながら、先生方との活発な意見交換がされていました。交流会は、沖永良部島伝統の踊りで最後を締めくくりました。
 
3月3日(月)

1.和泊町役場訪問
ホームページアドレス:http://www.town.wadomari.lg.jp/
 和泊町役場を訪問しました。昔は小学校の校舎だったそうです。町長の伊地知さんの元を訪れ、島の現状、今後の福祉活動について意見交換を行うことが出来ました。
 
和泊町役場  
 
2.歴史民族資料館訪問
    歴史民族資料館を訪問しました。島の写真や昔ながらの道具などが展示され、島の歴史や生活が窺えます。
かつては琉球王国に属しており、現在でも沖縄の『旧正月』を祝うような文化や、方言も沖縄言葉に近く、琉球文化を根強く残していることが分かりました。また、特に目を引いたのは島の特産であるテッポウユリをはじめとしたユリの展示でした。テッポウユリは、100年以上前から栽培をしている歴史の深い花で、現在では全国球根生産量の9割を生産しているそうです。
 
 
歴史民族博物館 テッポウユリ
 
  ■本件に関するお問い合わせ
  日本福祉大学 通信教育部事務室
  電話番号:0569-87-2932
  FAX 番号:0569-87-2308