地域包括ケアシステムと未来型先端テクノロジー
2020年、世界は新型コロナによるパンデミックによって大きく揺れた。日本も欧米諸国とは比較にならないものの、これまでに経験をしたことのない未知の体験におののいた。特に超少子、高齢多死社会である日本は、一歩間違うと大惨事が予想され、人々は精神的パンデミックに晒された。
未知なるウィルスの感染経路は見えない。見えないものへの恐れは人々を恐怖に陥れるが、その対策として非常に役に立ったのがリモートによるケアの実践であった。私たちは近未来を予想し、そのための備えとして介護へICT、AIテクノロジーの開発研究、実装、導入を展開していたが、図らずもこのパンデミックによってICT、AIテクノロジーの必要性が顕在した。実際に「見えないモノ」への対策としてテクノロジーが効果を発揮した。2020年10月、WHOは「人の繋がる社会を築くために社会政策としてICT、AIテクノロジーを導入せよ」と提言した。介護現場は極めてプライベートな空間であり、個々の尊厳を最大限に配慮せねばならない。個人の尊厳を保持しつつ、各地域の特性を反映させた社会システムが今、求められている。「ヒト」の手による「温もりのあるサービス」を当たり前に提供できるSocialキャピタルを築く社会構築は私たちのミッションである。これからの福祉経営を担う者はテクノロジーを使いこなす知見や見識を持つことはマストである。この講座では、まず、世界からみた日本の超少子超高齢多死社会の現状とコロナ後を想定した上で、現在日本で開発されているAIを始めとする未来型先端テクノロジーの開発導入のプロセスを知る。テクノロジーリテラシーへの理解と導入の際に留意すべき点として、個人の尊厳の尊重、セキュアな配慮の方法や科学的根拠による導入の必要性を理解する。これからのそれぞれの地域においての包括的ケアを実践するために必要な未来型先端テクノロジー活用の創造することが考えられることを目指す。
科目名 | 地域包括ケアシステムと 未来型先端テクノロジー |
単位数 | 2単位 | 科目形態 | スクーリング科目 |
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担当教員 | 尾林和子 |