米沢地域学習会が開催されました

 2010年2月13日(土)、14日(日)の2日間に渡り、2009年の大河ドラマ『天地人』で話題となった山形県米沢市において「地域学習会」が開催されました。全国から多くの観光客が訪れるようになった米沢市においても、地元地域の高齢化と人口減少の波は押し寄せています。同市は1年のうちで約5ヶ月間が降雪する豪雪地帯としても有名で、地域の問題や課題も雪国ならではの側面があります。今回の地域学習会では、米沢市内で法人の理事長を勤める傍ら通信教育部で学ぶ在学生にご協力をいただきました。
 地域学習会の訪問先としてご協力をいただきました生活協同組合『生活クラブやまがた』及びNPO法人『結いのき』からは、理事長をはじめとして働くスタッフの皆さんより、その実践や経験知についてお話いただきました。また、本学からは中上 純二先生(社会福祉実習教育研究センター 実習教育講師)、外部のゲスト講師として綾部 誠先生(山形大学大学院理工学研究科 准教授)が参加され、これからの高齢者福祉の視点や参加型福祉の取り組みついて、講義されました。

訪問・見学させていただいたNPO法人『結いのき』のご紹介

 特定非営利活動法人結いのき ホームページのURL
http://yuinoki.or.jp/index.html

 NPO「結いのき」の運営は「市民と企業団体でつくる市民参加型の活動」を構成メンバーの柱として非営利事業で「自立・協同・共生」を実現していきます。

 市民も企業も団体もできるところから私たちの活動に参画することで、高齢者、障がい者、子どもの自立と協同を支援し、地域社会の中で主体的に高齢者、障がい者、子どもと関わる参加型の活動を目指していきます。(結いのきホームページ、設立趣旨より)

≪結いのきの事業イメージ≫

【米沢地域学習会 2日間のスケジュール】

本学参加教員:中上 純二(社会福祉教育研究実習センター 実習教育講師)

【1日目】 平成22年2月13日(土)13時開始

13:00       グループホーム 結いのき 集合
13:00 〜 13:30 オリエンテーション
13:30 〜 15:00 『結いのき』の概要と歴史及び施設内の見学
15:00 〜 17:00 『結いのき』の実践報告(各担当ケアマネージャー)
17:00 〜 18:00 体験:雪灯篭づくり
18:00 〜 19:00 講義@:「これからの高齢者福祉を考える」
           講師:日本福祉大学 中上純二 実習教育講師
※終了後は、法人で働く皆さんと教員を交えて懇親会が開催されました。

【2日目】 平成22年2月14日(日)9時開始、12時終了

9:00 〜 9:30  結いのきの実践・報告に対する質疑・応答
9:30 〜 11:15  講義A:「米沢における高齢者福祉と参加型福祉の視点から見た『結いのき』の特徴」
           講師:山形大学大学院理工学研究科 綾部誠 准教授 
11:15 〜 12:00 振り返りとまとめ
12:00       終了、解散

米沢地域学習会 開催の様子

 例年は豪雪に見舞われる米沢市周辺ですが、今年は比較的雪の少ない年明けになったとのことでした。とは言え、新幹線で米沢市へ向かう車窓からは、一面の雪景色が見えました。また、米沢駅周辺は、雪まつりの準備に合わせて、雪のオブジェがつくられていました。

【新幹線の車窓から見えた雪景色】 【駅周辺の雪のオブジェ】

 

 地域学習会の会場となったグループホーム結いのきは、JR米沢駅からも程近く、近隣には医療機関も近いため、ご家族や利用者の皆さんにとっても便利で安心して暮らせる環境にあると言えます。ちなみに、JR米沢駅では、「天地人」で有名になった直江兼続公の像が出迎えてくれました。

【駅内にある直江兼続公の像】

 

 オリエンテーションの後、通信教育部にも在籍し、生活協同組合 生活クラブやまがた 理事長及びNPO法人 結いのき 専務理事を務める井上さんから、まずは「結いのき」のこれまでの歴史や取り組みについてお話いただきました。生協とNPO法人を地域福祉の両輪に、これまでのご苦労とこれから取り組むビジョンについても分かりやすくお話しいただきました。

【グループホーム結いのきの概観】 【井上 肇 理事長と
地域学習会を企画した笹川さん】

 

 結いのきの概要をお聞きした後、グループホームの3ユニットをそれぞれ見学させていただきました。担当する責任者やケアマネージャーによって、それぞれのこだわりや工夫している点など、丁寧に説明していただきました。

【グループホーム見学の様子】

 

 施設内を見学させていただいた後、スタッフの方に教えていただきながら、参加者共同で「雪灯篭」づくりを体験させていただきました。製作した雪灯篭は、グループホームの部屋の窓からも見ることができ、入居者の皆さんと共に参加した学生にとっても思い出に残る体験となりました。

【雪灯篭づくりの様子】 【完成した雪灯篭】

 

 本学、社会福祉実習教育研究センターの中上純二先生からは、ご自身が取り組むグループホームでの実践を踏まえ、これからの高齢者福祉の援助技術についてお話いただきました。研究者として、また実務家としても日頃から苦労している点、意識している問題点について分かりやすくご講義いただきました。

【中上純二先生:講義の様子】

 

 講義の後は、法人のスタッフの皆さんと参加者で中上先生のギターを囲み、和やかな雰囲気に包まれました。

 

 1日目の夜は懇親会の開催と共に当日、催されていた「上杉雪灯篭まつり」を見学するため、お祭りの会場となった上杉神社の境内を散策しました。夜の境内には、ロウソクに火が灯された雪灯篭の明かりで厳かな雰囲気の中、大勢の観光客が訪れていました。

【境内に並べられた雪灯篭】

 

 2日目には、1日目の内容を踏まえ、質疑応答を中心としたプログラムから始まりました。参加者一人ひとりから熱心な質問が出され、対応してくださった理事の松本さんには丁寧にお答えいただきました。

 また、最後の講義では、山形大学大学院理工学研究科の綾部誠准教授から、参加型福祉に取り組む結いのきの実践と特徴について、米沢市の歴史や産業など地域性にも触れながら客観的な視点でお話いただきました。

【松本 由美子 常務理事:講義の様子】 【綾部 誠先生:講義の様子】

 

 今回、訪れた米沢の地には、江戸時代に米沢藩の藩政建て直しに成功した名政治家がいました。その名は、知る人ぞ知る上杉鷹山公(うえすぎようざん)です。第35代米国大統領に就任したジョン・F・ケネディは、日本人記者団から「日本で最も尊敬する政治家はだれですか」と聞かれ、上杉鷹山だと答えたそうです。その名君が残した、誰もが知る名言をここで改めてご紹介しておきましょう。

【鷹山公の名言を掲げた看板】

地域学習会に参加された皆さんの感想より

参加後のレポートでは、以下のような感想がありました。
ごく一部ですが、ご紹介いたします。

■本件に関するお問い合わせ
日本福祉大学 通信教育部事務室
電話番号:0569-87-2932
FAX 番号:0569-87-2308